転生(未遂)秘書は恋人も兼任いたします
「坂本さん、少し酔い過ぎでは?早く休まないと明日に響きますよ」
「嘘じゃないっすよ。最初は普通に顔がタイプだったけど、今日話してみて、やっぱどストライクだなって思いました」
「…そうなんですね。そういう言葉は言われ慣れているので特別驚きませんが、坂本さんがそんな風に私を見ていたとは思わなかったので、軽く衝撃を受けてます」
「その顔で?」
「はい、だいぶ」
「…やっぱモテるんすね。まあそうだよな」
モテるというか、何というか。基本容姿だけで近付いてくる人達ばかりだから、私の全てを知った上で好きだと言ってくれた人は、いないに等しいけれど。
「俺、岬さんのこと好きになったらダメっすか」
「そうですね。出来ればやめていただきたいです」
「躊躇ないっすね…」
坂本さんは頭をガシガシ掻きながら呟くと、深い溜息を落とした。
「…そもそも、私のどこがいいんですか?“顔”以外でお答えください」
坂本さんを真っ直ぐ見据えながら尋ねれば、彼もまたとろんとした目で私を見つめる。
「…俺、実はドMなんすよね」
「…へ?」
そしてまさかの発言に、思わず間抜け声が出た。
私の好きなところを答えるのかと思いきや、これはただのカミングアウト。ぽかんとする私に、坂本さんは続けて口を開く。