転生(未遂)秘書は恋人も兼任いたします
「男はね、見えるか見えないかのギリギリが好きなのよ」
「ギリギリ?」
「そう。その先を知りたくなるようなドキドキとわくわく。Vネックで谷間作戦はいいと思うけど、その美脚も大胆に露出しなきゃ。身体のラインを見せて胸元を強調しつつ、生肌と目線で誘惑するのよ」
「えっと…ちょっと情報量が多すぎて頭が追いつきません…」
「要するに色気ね。あなたの持っている色気を最大限に爆発させなさい」
古布鳥さんってこんなに早口だったっけ。目もギラギラしていて、恐怖すら感じる。
でも、男の人を誘惑するにはこれくらいがっつかなきゃダメってことなのだろうか。
そもそも、こんな無表情の女に欲情する男なんていないのかもしれないけど。それで散々失敗してきたわけだし。
「色気以外に原因はないんですかね…」
「そうね、色気が足りてるのに手をだされないのなら、それはもう相手に気持ちがないのかも…」
古布鳥さんの言葉が、グサリと胸に刺さった。
きっとそれだ。彼が私を抱かない理由は。
分かっていたことだけど、言葉にされるとやっぱキツい。
「古布鳥さん!」
「あらやだ」
百合子さんは何かを察したのか、焦ったように古布鳥さんの名前を呼んだ。ハッとした古布鳥さんは「ごめんなさい」と眉を下げる。
ふるふると力なく首を横に振れば、百合子さんが私の傍にきて「大丈夫?」と背中にそっと手を当てた。その優しさに、胸がじんとした。