転生(未遂)秘書は恋人も兼任いたします
それにしても、こうして服を捲し上げられたことも、直接肌に触れられたことも、過去に経験したことがあるはずなのに。相手が逸生さんというだけで、何もかもが違う。
触れられただけで身体に熱を帯びていく感覚は今まで味わったことがなかったし、身を捩りながらも“もっと触れてほしい”と欲が出るのも、相手が逸生さんだから。
目が合っただけで、ぞくりと身体が反応するのも勿論初めて。好きな人に触れられるのが、こんなに気持ちいいなんて知らなかった。
「…逸生さん、続けてください」
力なく放った私に、「うん」と頷いた彼の優しい視線が、初めての私を安心させようとしているのが伝わってくる。歯止めがきかないなんて言いながら、やっぱり私を気遣ってくれる逸生さんの優しさが、また私を刺激した。
「服、脱がせていい?」
耳元で尋ねられ、こくりと頷く。捲し上げられた服を自ら脱げば、下着のみを身につけた姿になった私を、逸生さんは静かに見下ろしてきた。
「逸生さん、そんなに見られたら恥ずかしいです…」
「ごめん。でも綺麗だなって思って」
紗良、綺麗だよ。と小さく放った彼は、そっと首筋に唇を落とすと、露出したところに次から次からへとキスを落とす。
鎖骨や肩、お腹や太ももまで。私の身体を隅々までチェックしているかのように、ゆっくりと丁寧に。
時折逸生さんの息がかかって、そのくすぐったさに身を捩った。あまり人に触れられたことのない箇所に唇が触れると、大袈裟なほど身体が跳ねた。