転生(未遂)秘書は恋人も兼任いたします
こんなにじっくり見られるなら、古布鳥さんにもっと色気のある下着を選んでもらっとけばよかった。触れられて嬉しい反面、逸生さんがガッカリして萎えちゃったらどうしようとか、変なことばかり気にしてしまう。
「…逸っ…さん、もういい…恥ずかしい…です、」
太ももの付け根に吸い付くようなキスをされ、慌てて手を伸ばし制止する。けれどその手は逸生さんの手に掬いとられ、呆気なく阻止されてしまった。
「恥ずかしがってる紗良、可愛い」
「…っ、」
「俺が見たことない紗良をもっと見せて」
そう言って再びキスを落とすから、細い声が鼻に抜けた。咄嗟に空いた手で口を覆うも、息つく暇もなく熱が触れるから、耐えきれず声が漏れてしまう。
「…も、…やだ…」
まだキスをされているだけなのに、身体がどんどん敏感になっていくのが分かる。その快楽に、自分が自分じゃなくなりそうで、こわくて無意識に身を引いてしまう。
それなのに、逸生さんはすかさず私の腰を掴んで、わざとリップ音を響かせるから、「…お、願いだから、待って…っ」と声にならない声で訴えながら視線を下ろせば、上目がちに、妖艶な笑みを浮かべた彼と視線がぶつかった。
「俺しか見てないから、さらけ出していいよ。まぁ、そのうち何も考えられなくなると思うけど」
「え…」
嘘でしょ。この時点でいっぱいいっぱいなのに、これ以上先に進んだら私は一体どうなるの?
ていうか、前戯ってこんなにも丁寧に時間をかけてするものだっけ。本番を含め、全部を通して15分くらいで終わると思っていたのに、このペースだと朝までかかりそうだ。