転生(未遂)秘書は恋人も兼任いたします


「───あっ、ん、んっ、……」


突き上げるような快感に、何度も腰が震え、甘い声が漏れた。口を隠そうとすれば手をシーツに縫い付けられ、熱を孕んだ瞳と視線がぶつかり、容赦なく腰を打ち付けられて頭が真っ白になる。

待ってと言えば、数秒は待ってくれるけど。息が整う前に再び律動が始まると、何度も果てた身体は驚くほど敏感で、奥を突かれる度に大袈裟なほどビクンと跳ねた。


「ごめん、ほんとはもっと、優しくしたいけど」


逸生さんはそう囁きながらも深いところを刺激する。けれどそんな彼も時折余裕がなさそうに顔を歪め、小さく息を漏らすから、その仕草にまた熱を帯びた。

丁寧だけど、少し強引。でも自称ドMの私の身体は、その強引さに反応してしまう。


「…い、つき…さ…ぁっ、」

「紗良、好きだよ」


あの時とはまるで違う。心も身体も満たされる。

いつの間にか頬を伝っていた涙を、逸生さんはそっと拭う。この涙も、幸せの涙だ。


「紗良、おいで」


目がチカチカして、力が入らない。逸生さんはぐったりと肩で息をしている私を抱き上げると、今度は座る体勢でゆっくりと私の身体を攻め立てた。

息付く暇もなく唇を奪われ、啄むようなキスが落とされる。

じりじりと押し寄せてくる快楽に、吐息のような声が漏れる。縋るように彼の後頭部に手を回せば、逸生さんも私の背中に手を回し抱き寄せた。


「逸生さん…」

「うん?」

「これ以上は、ちょっと無理かもです」


汗ばんだ身体を密着させ、ぎゅーっと彼に抱きつく。これ以上の刺激は危険な気がして、身体に力を入れながら訴えた。


「どうした?疲れた?」

「…疲れた…のもありますけど、これ以上はもう…おかしくなり…そ、ひぁっ」


腰を掴まれ、小さな抵抗も虚しく呆気なく刺激を与えられる。軽く動いただけなのに、勝手に上擦った声が漏れる。


「もっ…やだぁ」

「おかしくなっていいよ。むしろ、もっと色んな紗良を見せて」


悪戯っぽく笑う彼を見て、また身体が反応してしまう。やだ、なんて言いながら、自分の身体は正直だ。

もっともっと繋がっていたい。意識が続く限り、逸生さんを肌で感じていたい。

そんな大胆なことは言えないけれど、返事をする変わりに困ったように笑えば「そんな顔見たら俺の方がおかしくなるんだけど」と逸生さんも笑う。

それに対し「いいですよ。もっと色んな逸生さんを見せてください」と放てば、どちらともなく唇が重なった。

< 321 / 324 >

この作品をシェア

pagetop