転生(未遂)秘書は恋人も兼任いたします

いい人ばかりと聞いていたけど、これはいい人っていうのだろうか。

まぁ、逸生さんと一緒に仕事が出来るくらいだから、少し変わった人達なんだろうとは思っていたけれど。

逸生さんが変わっているから成り立っているのか、それともこの人達が変わっているから逸生さんについていけるのか…本当に謎だ。


「岬さんほんと可愛い~お気に入りトップ3にくい込んできちゃった」
「私も久しぶりに興奮してるわ。これからますます女子トークが盛り上がるわね」


目の前で繰り広げられる百合子さんと古布鳥さんの会話に、助けを求めるように小山さんへと視線を移す。この部署で一番まともなのは、恐らく小山さんだ。

私からの視線を受け、苦笑する小山さん。困ったように笑いながらも私に近付いてきた彼は「悪い人達ではないから許してあげてほしい」と申し訳なさそうに放った。


「とりあえず自己紹介はこれくらいにしようか」


小山さんの言葉で、百合子さんは「あとでいっぱい話そうね」と手を振りながら自席に戻っていく。

そんな彼女を会釈しながら見送っていれば、百合子さんのそばに寄った井上さんが「どんな女性が現れても、俺の1番はお前だよ」と惚気ていた。

それを聞いた古布鳥さんが「こんな所でおっぱじめないでね」と突っ込む。それを見ていた小山さんが、小さく溜息をついたのが分かった。


自分もなかなか変わったキャラだと思っていたけれど。上には上がいるということを、目の当たりにした瞬間だった。

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