呪いで恋愛成就します!
これで怖くないなんてちょっとおかしい。


「確かに、放課後の校舎はなにかありそうだよね! 空き教室での逢い引きとか、校舎裏での告白とか!」


悦美がまた目を輝かせはじめたので真美は目を丸くした。


悦美はほんとうになにも怖くないんだろうか?


学校の七不思議とか、学校にまつわる怖い話はいくらでも存在しているのに。


グズグズと歩きながらもとうとう屋上へ出る扉の前に到着してしまった。


真美は灰色のドアを見つめてゴクリとツバを飲み込み、悦美は「さてさて」と嬉しそうにつぶやいた。


「鍵が開いてるかどうかだよね」


悦美のつぶやきに真美がハッとした表情を浮かべる。


そうだ。


普段は屋上へ続くドアの鍵はかけられている。


だから今日だってきっと……。


ギィィ……。


「ラッキー! 開いてたよ!」


真美の願いは虚しくかき消えて、目の前には真っ青な空が広がっていた。


一瞬空の眩しさに目を細めた真美は次の瞬間には強く身震いをしていた。


ドアが開いた瞬間全身に冷たい空気がまとわりついてきたように感じたのだ。


だけどそれも一瞬にして消えていた。
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