呪いで恋愛成就します!
グラウンドから聞こえてくる生徒たちの喧騒を聞きながら、私は彼に声をかけた。


フェンス越しに生徒たちを眺めていた彼が振り向く。


その瞬間心臓がドクンッと音を立てた。


彼は決して目立つタイプじゃないけれど、誰にでも優しい人だった。


「珍しいな。ミキコちゃんから呼び出しなんて」


すでになにを言われているのか察しがついているのだろう、彼の頬は少し赤く染まっていた。


「話があって……」


「うん。なに?」


これを逃せば二度と告白のチャンスはないだろう。


心臓が張り裂けてしまいそうなほど緊張しているけれど、逃げるわけにはいかない。


「私、ヒロシくんのことが……!!」


好きです。


その瞬間までは、たしかに勇気を出して言うつもりだった。


ゴォォォォ! という轟音と、地鳴りが聞こえてくるまでは。


「な、なに?」


地面が揺れて立っていられなくなった。


地震!?


視界に映るヒロシくんも身を屈めて険しい表情をしている。


そして次の瞬間……「逃げろ!!」


ヒロシくんの叫び声が聞こえてくるのと、激しい衝撃が体を貫いたのはほぼ同時だった。

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