呪いで恋愛成就します!
3年間の思いが体中を駆け抜けていく。


好き。


好き!


好き!!


「うん」


ヒロシが笑う。


「僕も、好き」


その瞬間、胸の中がいっぱいになる。


張り裂けそなほどの幸せを抱えて、私はヒロシに駆け寄った。


「大好き!」


3年間?


いや違う。


あれからもう30年以上が経過した。


私の長い長い片思い。


「僕も、大好き!」


伸ばされた両手に飛び込んで、そのままきつく抱きしめられる。


やっと伝えられた想いに涙が溢れ出す。


「ありがとう、さようなら」


30年間同じ場所にとどまった自分が、こんなに幸せな気持ちで旅立てるなんて思ってもいなかった。


スッと真美の体から抜け出たとき、ヒロシと視線がぶつかった。


空へと向かって登っていく私を見つめ続けるヒロシと真美。


「ありがとう」


その言葉は空中に溶けて、消えた……。
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