新そよ風に乗って 〜時の扉〜
職務
「もし、差し支えなければ、矢島さんが、うちの会社に入ったきっかけを教えてくれないか?」
「きっかけ……ですか?」
会社に入ったきっかけなど、言えるほどのものではなかった。まわりのみんなが選んでいた基準と同じように、上場企業で転勤などない企業。初任給は、殆どどの企業も資格でもない限り横一線。それほど重視もしていなかった。ただ、就職できればいいとだけしか思っていなかったから、最初に内定を貰えた今の会社にしただけで……。
「きっかけは、実は最初に内定を貰えたからです。ただ、それだけです。すみません」
航空会社ではあったが、差し当たってキャビン・アテンダントになりたいとも思わなかったから、別に航空会社でなくても良かった。
「謝ることはない。きっかけはどうあれ、社会人としての一歩を踏み出したことには変わりない」
「そうでしょうか。でも、高橋さんのように好きでこの仕事を選んだわけでもないので、何となく……引け目というか、負い目を感じています」
大学を出たところで、何になりたいというものもなかった。大学に入る前は、将来のことは卒業するまでにその活路を見出せると思っていたが、目的も進歩もないまま就職活動の時期になり、何ら将来設計も、予想図さえ描けないまま社会に出てしまった感が否めない。
「矢島さんには、俺が今の仕事が好きに見えるのか」
「そうじゃないのですか?」
「フッ……。今の仕事というか、仕事は好きだ」
仕事が好きだと、堂々と言える高橋さんは本当に凄いというか、羨ましい。
「きっかけ……ですか?」
会社に入ったきっかけなど、言えるほどのものではなかった。まわりのみんなが選んでいた基準と同じように、上場企業で転勤などない企業。初任給は、殆どどの企業も資格でもない限り横一線。それほど重視もしていなかった。ただ、就職できればいいとだけしか思っていなかったから、最初に内定を貰えた今の会社にしただけで……。
「きっかけは、実は最初に内定を貰えたからです。ただ、それだけです。すみません」
航空会社ではあったが、差し当たってキャビン・アテンダントになりたいとも思わなかったから、別に航空会社でなくても良かった。
「謝ることはない。きっかけはどうあれ、社会人としての一歩を踏み出したことには変わりない」
「そうでしょうか。でも、高橋さんのように好きでこの仕事を選んだわけでもないので、何となく……引け目というか、負い目を感じています」
大学を出たところで、何になりたいというものもなかった。大学に入る前は、将来のことは卒業するまでにその活路を見出せると思っていたが、目的も進歩もないまま就職活動の時期になり、何ら将来設計も、予想図さえ描けないまま社会に出てしまった感が否めない。
「矢島さんには、俺が今の仕事が好きに見えるのか」
「そうじゃないのですか?」
「フッ……。今の仕事というか、仕事は好きだ」
仕事が好きだと、堂々と言える高橋さんは本当に凄いというか、羨ましい。
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