新そよ風に乗って 〜時の扉〜
言われて車内を見渡したが、確かにアクセサリーとか何もない。後部座席も振り返って覗いてみたが、何もシートに置いてなかった。高橋さんのマンションのお部屋もそうだったように、車の中も余計なものは置いてない。
「だけど、音だけはうるさいんだよな。貴博は」
「音? 車の振動とかですか?」
「ううん、音楽。ミュージックに関しては本当にうるさいから、スピーカーから拘ってるんだ。気に入った車でもオーディオ関係が落ちると買わないんだよ。むしろ、オーディオ環境が整ってる車に合わせてるって感じ」
「そうなんですか」
高橋さんは、音にうるさいんだ。初めて知った。
初めて知ることが、今日はたくさんある。高橋さんの友達の仁さんにも遭遇してしまったし、何より高橋さんの部屋に行ってしまった。しかも部屋に入っちゃって、ご飯まで頂いて……。
「うーんと、陽子ちゃん。この先は、どっち?」
「あっ、右です。すみません」
自分の世界に飛んでて、突き当たりの道をどっちに曲がったらいいのかわからなくて、明良さんが困っていた。
「いろんなことが起きたから、驚いてる四月だよね」
「えっ?」
「社会人になって、周りはみんな知らない人で、先輩で。覚えることもたくさんあって、学生の時のように遅くまで寝ていられないし、休みも週末だけ。だけど規則正しい生活は送っているんじゃない?」
「そうですね」
確かに、毎朝同じ時間に起きて会社に行く。学生の頃だったら、朝、授業のない日はその分、寝ていた。
「社会に出るって大変だよね。お給料貰うからには、ちゃんと働かなければいけないし、ちゃんと働いているんだからお給料も貰える。自分が描いてた社会人と違って、こんなはずじゃなかったってことも多いよね?」
「はい」
「だけど、音だけはうるさいんだよな。貴博は」
「音? 車の振動とかですか?」
「ううん、音楽。ミュージックに関しては本当にうるさいから、スピーカーから拘ってるんだ。気に入った車でもオーディオ関係が落ちると買わないんだよ。むしろ、オーディオ環境が整ってる車に合わせてるって感じ」
「そうなんですか」
高橋さんは、音にうるさいんだ。初めて知った。
初めて知ることが、今日はたくさんある。高橋さんの友達の仁さんにも遭遇してしまったし、何より高橋さんの部屋に行ってしまった。しかも部屋に入っちゃって、ご飯まで頂いて……。
「うーんと、陽子ちゃん。この先は、どっち?」
「あっ、右です。すみません」
自分の世界に飛んでて、突き当たりの道をどっちに曲がったらいいのかわからなくて、明良さんが困っていた。
「いろんなことが起きたから、驚いてる四月だよね」
「えっ?」
「社会人になって、周りはみんな知らない人で、先輩で。覚えることもたくさんあって、学生の時のように遅くまで寝ていられないし、休みも週末だけ。だけど規則正しい生活は送っているんじゃない?」
「そうですね」
確かに、毎朝同じ時間に起きて会社に行く。学生の頃だったら、朝、授業のない日はその分、寝ていた。
「社会に出るって大変だよね。お給料貰うからには、ちゃんと働かなければいけないし、ちゃんと働いているんだからお給料も貰える。自分が描いてた社会人と違って、こんなはずじゃなかったってことも多いよね?」
「はい」