新そよ風に乗って 〜時の扉〜
「それもございますが、それにプラスαとしまして、この先、消費税が引き上げられた場合、増税分を何処で補うか。何処で補えるのかが焦点となってくるわけですが、増税分は企業が負わない限り、消費者には実質値上げとなってしまいます。グループでの共通化と互換性でのコスト削減が出来れば、想定外の支出は少なくとも企業努力で賄えることになり、消費税の増税分だけの値上げだけで済みますが、もし、想定外の支出を企業努力で賄えない場合は、それプラス増税の負担も加わり、ダブルの値上げを実施しなくてはならなくなります。企業努力で賄えるか、賄えないかで、かなりの違いが出て来てしまいます。他社との差別化を図る上でも、これはチャンスと取るか、リスクになるかということです」
「リスクに備えた体制づくりが、必要だということだな」
社長の言葉に、高橋さんは黙って深く頷いた。
お金の流れって、本当に大事で大変で……。一歩間違えれば、どん底に陥ってしまうのかもしれない。今の私の全知識をもってしても、これぐらいしか理解出来ない。本当は、もっと重要なことを話し合っているのだろうけれど。情けないけど、これが現実。
「前倒しで保守の改修、修繕をするということだが、そんなことをするよりも改修費用等を損金として一括計上すれば、その分、浮くんじゃないのか?」
「そうですよ。その方が余分な支出も防げます。常務のおっしゃった損金として一括計上する方が、税金対策にもなりますよ。どうだね? 高橋君」
常務と一緒に発言した取締役が、高橋さんに対して不適な笑みを浮かべている。
損金として一括計上するって、どういうことなんだろう? よくわからない。
「改修費用等を損金として一括計上するということに対しまして、私は証左を示すことは出来かねます」
「どういう意味だ?」
「それが、本来の君の仕事なんじゃないのか? それとも仕事を選んで、面倒なことは拒否するつもりなのかね?」
「どういうつもりなんだ?」
「リスクに備えた体制づくりが、必要だということだな」
社長の言葉に、高橋さんは黙って深く頷いた。
お金の流れって、本当に大事で大変で……。一歩間違えれば、どん底に陥ってしまうのかもしれない。今の私の全知識をもってしても、これぐらいしか理解出来ない。本当は、もっと重要なことを話し合っているのだろうけれど。情けないけど、これが現実。
「前倒しで保守の改修、修繕をするということだが、そんなことをするよりも改修費用等を損金として一括計上すれば、その分、浮くんじゃないのか?」
「そうですよ。その方が余分な支出も防げます。常務のおっしゃった損金として一括計上する方が、税金対策にもなりますよ。どうだね? 高橋君」
常務と一緒に発言した取締役が、高橋さんに対して不適な笑みを浮かべている。
損金として一括計上するって、どういうことなんだろう? よくわからない。
「改修費用等を損金として一括計上するということに対しまして、私は証左を示すことは出来かねます」
「どういう意味だ?」
「それが、本来の君の仕事なんじゃないのか? それとも仕事を選んで、面倒なことは拒否するつもりなのかね?」
「どういうつもりなんだ?」