新そよ風に乗って 〜時の扉〜
確かに、高橋さんは近寄りがたいところがあるかもしれない。そう感じているのは、私だけじゃなかったんだ。
「うん、うん。それは、何となくわかる」
「でしょ? でも、その近寄りがたいっていうのは、敢えて自分からそういう風に仕向けてるんじゃないかって思うんだよね」
「自分から、そういう風に仕向けてるって? どういうこと? 何のために?」
神田さんの言ってることが、よくわからなかった。
何で、高橋さんが自分でそういう風に仕向けなければならないんだろう。それも、何のために?
「あらら……。陽子の、何で、何で攻撃に遭っちゃったよ」
「だって……」
「ハイブリッジは、自分の世界に踏み込まれたくないから、だから自然と自ら壁を築いちゃってるんだと思う。それも、高い壁をね」
高い……壁。
自分の世界に踏み込まれたくないからって、高い壁を築いてるだなんて、もしかして人に知られたくないことでもあるのだろうか?
「神田さん。高橋さんは、人に知られたくないこととかがあるから?」
「うーん……。どうなんだろう? ハイブリッジの心の中まで覗いたわけじゃないから、そこまではわからないけど、だけど誰だって人には知られたくないことの一つや二つはあるでしょう? それがその人にとって、どれだけ自分の中の比重を占めているかにもよるだろうし」
知られたくないこと。どれだけ自分の中で比重を占めているか。
「でも、そのことにハイブリッジ自身が気づいてるかどうかは、定かじゃないけど」
高橋さんが、自ら壁を築いてる。高い壁を。
それは、自分の世界に踏み込まれたくないから。
「でも、確実に言えることは、ハイブリッジは心の内を他人には見せないタイプだよ。だから自己防衛として、自然に出てる行動なのかもしれないね」
自己防衛。
「あっ。噂をすれば、ご登場よ」
エッ……。
神田さんの視線が斜め後ろの方向に向いていたので振り返ると、高橋さんがトレーを持って座ろうとしていた。
「高橋さん。陽子も、此処に居ますよお」
「ちょ、ちょっと、神田さん。やめてよ」
神田さんが高橋さんに向かって手を振っているので、思わずその腕を引っ張って下げさせてから高橋さんに焦りながら座ったままお辞儀をすると、左手を少しだけ挙げて応えてくれた感じだった。
「うん、うん。それは、何となくわかる」
「でしょ? でも、その近寄りがたいっていうのは、敢えて自分からそういう風に仕向けてるんじゃないかって思うんだよね」
「自分から、そういう風に仕向けてるって? どういうこと? 何のために?」
神田さんの言ってることが、よくわからなかった。
何で、高橋さんが自分でそういう風に仕向けなければならないんだろう。それも、何のために?
「あらら……。陽子の、何で、何で攻撃に遭っちゃったよ」
「だって……」
「ハイブリッジは、自分の世界に踏み込まれたくないから、だから自然と自ら壁を築いちゃってるんだと思う。それも、高い壁をね」
高い……壁。
自分の世界に踏み込まれたくないからって、高い壁を築いてるだなんて、もしかして人に知られたくないことでもあるのだろうか?
「神田さん。高橋さんは、人に知られたくないこととかがあるから?」
「うーん……。どうなんだろう? ハイブリッジの心の中まで覗いたわけじゃないから、そこまではわからないけど、だけど誰だって人には知られたくないことの一つや二つはあるでしょう? それがその人にとって、どれだけ自分の中の比重を占めているかにもよるだろうし」
知られたくないこと。どれだけ自分の中で比重を占めているか。
「でも、そのことにハイブリッジ自身が気づいてるかどうかは、定かじゃないけど」
高橋さんが、自ら壁を築いてる。高い壁を。
それは、自分の世界に踏み込まれたくないから。
「でも、確実に言えることは、ハイブリッジは心の内を他人には見せないタイプだよ。だから自己防衛として、自然に出てる行動なのかもしれないね」
自己防衛。
「あっ。噂をすれば、ご登場よ」
エッ……。
神田さんの視線が斜め後ろの方向に向いていたので振り返ると、高橋さんがトレーを持って座ろうとしていた。
「高橋さん。陽子も、此処に居ますよお」
「ちょ、ちょっと、神田さん。やめてよ」
神田さんが高橋さんに向かって手を振っているので、思わずその腕を引っ張って下げさせてから高橋さんに焦りながら座ったままお辞儀をすると、左手を少しだけ挙げて応えてくれた感じだった。