新そよ風に乗って 〜時の扉〜
「ん? みんな言ってる」
「みんなって、誰だよ?」
「いろいろと……」
「いろいろ?」
「細かいことは、いいんだって。西は誰だか知らないけど、東はこの武田明良様と決まったんだ」
「何時?」
「今」
プッ!
高橋さんと明良さんの会話を聞いていると、まるで漫才のようだ。
「失礼致します」
そこへ、店員さんがお茶を持って入ってきた。
「すみません。二人とも食事終わってしまったので、このまま今日は失礼しますので」
「そうですか? では、お茶だけでも召し上がっていって下さい」
「ありがとうございます」
明良さんはお礼を言って、店員さんが部屋から出て行くと、直ぐさま目の前に置かれた湯飲み茶碗を持った。
「あっちー!」
慌てて明良さんが、湯飲み茶碗を茶托に置くと、高橋さんの前に置いてあった水の入ったグラスを掴んで指を冷やしていた。
「な、何だよ。この薄い湯飲みは。熱伝導率、速過ぎだろう」
「自業自得」
「大丈夫ですか?」
「陽子ちゃんだけだよ。そうやって、心配してくれるのは。どっかの冷血会計士とは違ってさ」
「……」
明良さん。面と向かって、そんなこと言っちゃっていいのかな。
「そうだ、陽子ちゃん。これから貴博の家に行って、宴の続きしない?」
エッ……。
「貴博。いいだろう? 俺、腹減ってるし、作るから」
「……」
こんな時、何と応えたらいいのだろう? 私は結構ですと、キッパリ断るのは角が立つ。だけど、いきなり行きたいですというのも、図々しいと思われるだろう。高橋さんの家に行かれるなんて、それは凄く嬉しいことだけれど、だけど高橋さんにだって都合があるだろうし……。ここは、やっぱり遠慮しておいた方がいい気がする。高橋さんだって、黙ったままだもの。
「あの……。私は、今日はもう此処で失礼します。明良さん。誘って下さったのに、ごめんなさい。それじゃ、私はこれで。」
急いでバッグを持って立ち上がったが、食事代を払っていないことに気づき、慌てて格子戸まで行きかけてバッグからお財布を出して、取り敢えず一万円札を掘り座卓の
上に置いた。
「みんなって、誰だよ?」
「いろいろと……」
「いろいろ?」
「細かいことは、いいんだって。西は誰だか知らないけど、東はこの武田明良様と決まったんだ」
「何時?」
「今」
プッ!
高橋さんと明良さんの会話を聞いていると、まるで漫才のようだ。
「失礼致します」
そこへ、店員さんがお茶を持って入ってきた。
「すみません。二人とも食事終わってしまったので、このまま今日は失礼しますので」
「そうですか? では、お茶だけでも召し上がっていって下さい」
「ありがとうございます」
明良さんはお礼を言って、店員さんが部屋から出て行くと、直ぐさま目の前に置かれた湯飲み茶碗を持った。
「あっちー!」
慌てて明良さんが、湯飲み茶碗を茶托に置くと、高橋さんの前に置いてあった水の入ったグラスを掴んで指を冷やしていた。
「な、何だよ。この薄い湯飲みは。熱伝導率、速過ぎだろう」
「自業自得」
「大丈夫ですか?」
「陽子ちゃんだけだよ。そうやって、心配してくれるのは。どっかの冷血会計士とは違ってさ」
「……」
明良さん。面と向かって、そんなこと言っちゃっていいのかな。
「そうだ、陽子ちゃん。これから貴博の家に行って、宴の続きしない?」
エッ……。
「貴博。いいだろう? 俺、腹減ってるし、作るから」
「……」
こんな時、何と応えたらいいのだろう? 私は結構ですと、キッパリ断るのは角が立つ。だけど、いきなり行きたいですというのも、図々しいと思われるだろう。高橋さんの家に行かれるなんて、それは凄く嬉しいことだけれど、だけど高橋さんにだって都合があるだろうし……。ここは、やっぱり遠慮しておいた方がいい気がする。高橋さんだって、黙ったままだもの。
「あの……。私は、今日はもう此処で失礼します。明良さん。誘って下さったのに、ごめんなさい。それじゃ、私はこれで。」
急いでバッグを持って立ち上がったが、食事代を払っていないことに気づき、慌てて格子戸まで行きかけてバッグからお財布を出して、取り敢えず一万円札を掘り座卓の
上に置いた。