新そよ風に乗って 〜時の扉〜
驚いて少し大きな声を出してしまったが、そんな声に動じることなく、不適な笑みを浮かべた高橋さんは、車に乗って駐車場の方へと走り去って行ってしまった。
此処が、高橋さんのマンション。
高橋さんが住んでいる家。
此処に、何で私が?
高橋さんが、私を部屋に……。
まさか……。
高橋さんの部屋で、二人っきり?
さっき高橋さんが、不適な笑みを浮かべてた……。
ちょっと待って。落ち着け、私。
いろんなことが、ぐるぐると頭の中を巡り、半ばパニック状態に陥っている。
「お待たせ」
「はい。あっ、いえ」
「行こうか」
う、嘘。どうしよう。
「あの……」
歩き出した高橋さんを呼び止めた。
すると高橋さんが肩越しに後ろを振り返り、立ち止まってこちらを向いてくれたが、面と向かうと恥ずかしくて目を合わせらなくて、思わず下を向いた。
「どうした?」
「あの……」
「ん?」
俯いている私の顔を、高橋さんが屈んで覗き込んだ。
うわっ。
ち、近すぎですって、高橋さん。
「車に酔ったか?」
「い、いえ、そんなことないです」
「何?」
優しい口調だが無駄な語藁抜きに単刀直入に聞かれて、言葉に詰まってしまう。
「その……」
すると、高橋さんが右手にしていた時計を見た。
「まずいな。取り敢えず行こう。話は後で聞くから」
「えっ? あっ、あの……」
そう言って、高橋さんに背中を軽く押されるように誘われてエントランスへと向かい、オートロックを解除した高橋さんが私を先に入れてくれると、エレベーターのボタンを押した。
此処が、高橋さんのマンション。
高橋さんが住んでいる家。
此処に、何で私が?
高橋さんが、私を部屋に……。
まさか……。
高橋さんの部屋で、二人っきり?
さっき高橋さんが、不適な笑みを浮かべてた……。
ちょっと待って。落ち着け、私。
いろんなことが、ぐるぐると頭の中を巡り、半ばパニック状態に陥っている。
「お待たせ」
「はい。あっ、いえ」
「行こうか」
う、嘘。どうしよう。
「あの……」
歩き出した高橋さんを呼び止めた。
すると高橋さんが肩越しに後ろを振り返り、立ち止まってこちらを向いてくれたが、面と向かうと恥ずかしくて目を合わせらなくて、思わず下を向いた。
「どうした?」
「あの……」
「ん?」
俯いている私の顔を、高橋さんが屈んで覗き込んだ。
うわっ。
ち、近すぎですって、高橋さん。
「車に酔ったか?」
「い、いえ、そんなことないです」
「何?」
優しい口調だが無駄な語藁抜きに単刀直入に聞かれて、言葉に詰まってしまう。
「その……」
すると、高橋さんが右手にしていた時計を見た。
「まずいな。取り敢えず行こう。話は後で聞くから」
「えっ? あっ、あの……」
そう言って、高橋さんに背中を軽く押されるように誘われてエントランスへと向かい、オートロックを解除した高橋さんが私を先に入れてくれると、エレベーターのボタンを押した。