新そよ風に乗って 〜時の扉〜
「すみません、ありがとうございます」
「お前、力ないな。手を切りそうで、見てるこっちが怖い」
「すみません……」
「ごめん、ごめん。陽子ちゃん。そしたら、冷蔵庫からお味噌だしてくれるかな。あと、たらこもお願い」
「はい」
明良さんに言われるまま材料を冷蔵庫から出すと、灰汁をとっていたナスを水から取って、包丁で半月切りにすると、今度は、まるで早送りしているようなスピードでピーマンを細切りにした。
凄い……。何、この切る速さは。
そして、フライパンでナスとピーマン、先ほど開けたツナを炒めながら調味料を加えると、明良さんがこちらを見た。
「陽子ちゃん。お味噌ちょうだい」
「はい」
「それと、そこのボールにお酒とみりんがもう入ってるから、今出してくれた、たらこを入れてよく混ぜてくれる?」
「はい」
「まるで、料理教室だな」
「貴博。暇してるなら、箸とか取り皿とか用意しろよ」
「もう用意出来てるが、それがどうかしたか?」
「あ、ああ、そう。貴博ちゃん。曹操は中国の偉人。好きだなあ」
はい?
「俺は、諸葛孔明の方が好きだ」
「ハッ? 風吹かせちゃうわけ?」
高橋さんが、風吹かせる?
「扇子振ってな」
な、何? 何の話?
「そいつは凄いや。おっと、こんなことはしてられなかった。陽子ちゃん、たらこ混ざった?」
「はい」
高橋さんと明良さんの会話を聞きながら、たらことお酒とみりんを混ぜていた。
「こっちは、できあがり。貴博。運んで」
「OK!」
仕上げに白ごまを振って大皿に盛られた、ナスとピーマン、ツナを炒めてお味噌を絡めたいい匂いがするお料理をカウンター越しに高橋さんが受け取ると、ダイニングテーブルの方へと持って行った。
明良さんは休むことなく、今度は二センチ角に切ったお豆腐をごま油で焼いていた。
「いい匂い」
「ごま油の匂いって、食欲そそるよね。陽子ちゃん。ご飯よそってくれる?」
「はい」
お豆腐に焼き目がついたところでお皿に盛ると、先ほどのたらこを加えて黒ごまを振った。
「さあ、食べよう」
テーブルに並べられたお料理は何とも彩りよく、緑黄色野菜がバランス良くサラダボールに盛りつけられていて一段と食欲をそそる。
「陽子ちゃん。嫌いなものないって貴博から昨日聞いたから、ピーマンもパプリカも盛りだくさん使えて良かった」
エッ……。
高橋さんから聞いたって、明良さん。昨日も、もしかしてお料理作ってくれてたの?
「あの……」
「冷めないうちに、食べよう」
「あっ、はい」
言いかけたところで、高橋さんに言われてお箸を手に持った。
「いただきます」
「召し上がれ。たまには、和食系の週末の朝もいいだろう?」
「そうだな」
こんなに美味しそうなお料理が作れるなんて、羨ましい。
「どう?」
ナスとピーマンの方から、一口食べてみた。
合わせ味噌が、凄くマッチしていて美味しい。
「お前、力ないな。手を切りそうで、見てるこっちが怖い」
「すみません……」
「ごめん、ごめん。陽子ちゃん。そしたら、冷蔵庫からお味噌だしてくれるかな。あと、たらこもお願い」
「はい」
明良さんに言われるまま材料を冷蔵庫から出すと、灰汁をとっていたナスを水から取って、包丁で半月切りにすると、今度は、まるで早送りしているようなスピードでピーマンを細切りにした。
凄い……。何、この切る速さは。
そして、フライパンでナスとピーマン、先ほど開けたツナを炒めながら調味料を加えると、明良さんがこちらを見た。
「陽子ちゃん。お味噌ちょうだい」
「はい」
「それと、そこのボールにお酒とみりんがもう入ってるから、今出してくれた、たらこを入れてよく混ぜてくれる?」
「はい」
「まるで、料理教室だな」
「貴博。暇してるなら、箸とか取り皿とか用意しろよ」
「もう用意出来てるが、それがどうかしたか?」
「あ、ああ、そう。貴博ちゃん。曹操は中国の偉人。好きだなあ」
はい?
「俺は、諸葛孔明の方が好きだ」
「ハッ? 風吹かせちゃうわけ?」
高橋さんが、風吹かせる?
「扇子振ってな」
な、何? 何の話?
「そいつは凄いや。おっと、こんなことはしてられなかった。陽子ちゃん、たらこ混ざった?」
「はい」
高橋さんと明良さんの会話を聞きながら、たらことお酒とみりんを混ぜていた。
「こっちは、できあがり。貴博。運んで」
「OK!」
仕上げに白ごまを振って大皿に盛られた、ナスとピーマン、ツナを炒めてお味噌を絡めたいい匂いがするお料理をカウンター越しに高橋さんが受け取ると、ダイニングテーブルの方へと持って行った。
明良さんは休むことなく、今度は二センチ角に切ったお豆腐をごま油で焼いていた。
「いい匂い」
「ごま油の匂いって、食欲そそるよね。陽子ちゃん。ご飯よそってくれる?」
「はい」
お豆腐に焼き目がついたところでお皿に盛ると、先ほどのたらこを加えて黒ごまを振った。
「さあ、食べよう」
テーブルに並べられたお料理は何とも彩りよく、緑黄色野菜がバランス良くサラダボールに盛りつけられていて一段と食欲をそそる。
「陽子ちゃん。嫌いなものないって貴博から昨日聞いたから、ピーマンもパプリカも盛りだくさん使えて良かった」
エッ……。
高橋さんから聞いたって、明良さん。昨日も、もしかしてお料理作ってくれてたの?
「あの……」
「冷めないうちに、食べよう」
「あっ、はい」
言いかけたところで、高橋さんに言われてお箸を手に持った。
「いただきます」
「召し上がれ。たまには、和食系の週末の朝もいいだろう?」
「そうだな」
こんなに美味しそうなお料理が作れるなんて、羨ましい。
「どう?」
ナスとピーマンの方から、一口食べてみた。
合わせ味噌が、凄くマッチしていて美味しい。