新そよ風に乗って 〜時の扉〜
「美味しい。これ凄く美味しいです。お味噌の味がマイルドで、私好きです」
「良かった。陽子ちゃんにそう言ってもらえて嬉しいよ。貴博は、いつもガッツ食いで味わうってことしないから、美味いしか言わないんだよ」
「明良さん。ツナを入れるとこんなにマイルドになるんですね。でも、私にはこういう味付け出来ないです。きっと」
いつもレシピどおりに作っても、何故か味が薄かったり、若しくは濃すぎたりしてしまう。
「ワン、ワン、ワンの方式だから」
「ワン、ワン、ワンの方式?」
明良さんは、犬飼ってるのかな?
「料理ってさ、面倒だと思ったら絶対出来ないと思わない?」
「あっ、確かにそうですね」
本当にそう思う。面倒だから、お総菜買って済ませてしまう。作るのが面倒だから外食してしまおう。そんな理由が少なからずある背景には、面倒だからという言葉が入っている時が多い。
「だから俺は、その面倒な部分はすべてカット。格好良く言えば省エネモードで料理を作ることに賭けてるんだ」
何か、凄いな。
「まあ、男だってこともあるかもしれないけど、いちいちさあ、レシピ本見て、砂糖が大さじ2とか、酒が小さじ1とか、大小まちまち小町が面倒だから統一性を計ってるわけ」
大小まちまち小町?
「だから大さじでも、小さじでも全部1。それでこの調味料はちょっと多め、少なめの方がいいかな? と思ったら、適当に増減するわけ」
「あの、でも……」
「なあに?」
「その適当に増減っていうのが、私には難しいかと……。入れ過ぎちゃったり、少な過ぎたりして失敗しちゃうんですよね」
「そんなの適当だよ。ガバッと入れ過ぎない限り、そうそう味は変わらないと思うよ? どちらかというと、その食材そのものの味を味わいたいから俺は薄味傾向だけどね。だから、このナスとピーマンに入れ、酒、砂糖、味噌、醤油、白ごま、油は全部大さじ1だよ。これが、ワン、ワン、ワンの方式。わかった?」
薄味傾向に仕上がるのだったら、あとで味の調整が出来るからいいかもしれない。
「はい。何か、これなら私にもちょっと出来そうな気がします」
「ちょっとどころじゃないよ。ちゃんと出来ると思うよ。それと、こっちのたらこの料理も同じね。木綿豆腐とたらこの他は、酒、みりん、ごま油、黒ごまのワン、ワン、ワン」
「そうなんですね。こっちのたらことお豆腐のも凄く美味しいです」
でも、このレシピ聞いただけじゃ忘れちゃいそうだから、メモしておきたいな。
「良かった。陽子ちゃんにそう言ってもらえて嬉しいよ。貴博は、いつもガッツ食いで味わうってことしないから、美味いしか言わないんだよ」
「明良さん。ツナを入れるとこんなにマイルドになるんですね。でも、私にはこういう味付け出来ないです。きっと」
いつもレシピどおりに作っても、何故か味が薄かったり、若しくは濃すぎたりしてしまう。
「ワン、ワン、ワンの方式だから」
「ワン、ワン、ワンの方式?」
明良さんは、犬飼ってるのかな?
「料理ってさ、面倒だと思ったら絶対出来ないと思わない?」
「あっ、確かにそうですね」
本当にそう思う。面倒だから、お総菜買って済ませてしまう。作るのが面倒だから外食してしまおう。そんな理由が少なからずある背景には、面倒だからという言葉が入っている時が多い。
「だから俺は、その面倒な部分はすべてカット。格好良く言えば省エネモードで料理を作ることに賭けてるんだ」
何か、凄いな。
「まあ、男だってこともあるかもしれないけど、いちいちさあ、レシピ本見て、砂糖が大さじ2とか、酒が小さじ1とか、大小まちまち小町が面倒だから統一性を計ってるわけ」
大小まちまち小町?
「だから大さじでも、小さじでも全部1。それでこの調味料はちょっと多め、少なめの方がいいかな? と思ったら、適当に増減するわけ」
「あの、でも……」
「なあに?」
「その適当に増減っていうのが、私には難しいかと……。入れ過ぎちゃったり、少な過ぎたりして失敗しちゃうんですよね」
「そんなの適当だよ。ガバッと入れ過ぎない限り、そうそう味は変わらないと思うよ? どちらかというと、その食材そのものの味を味わいたいから俺は薄味傾向だけどね。だから、このナスとピーマンに入れ、酒、砂糖、味噌、醤油、白ごま、油は全部大さじ1だよ。これが、ワン、ワン、ワンの方式。わかった?」
薄味傾向に仕上がるのだったら、あとで味の調整が出来るからいいかもしれない。
「はい。何か、これなら私にもちょっと出来そうな気がします」
「ちょっとどころじゃないよ。ちゃんと出来ると思うよ。それと、こっちのたらこの料理も同じね。木綿豆腐とたらこの他は、酒、みりん、ごま油、黒ごまのワン、ワン、ワン」
「そうなんですね。こっちのたらことお豆腐のも凄く美味しいです」
でも、このレシピ聞いただけじゃ忘れちゃいそうだから、メモしておきたいな。