強引な年下イケメンに溺愛されて恋がはじまりました。
まあ、怪我人なんて珍しくもないだろうし興味ないだろうな。


「はい、終わり。悪いけど絆創膏がいま在庫をきらしてるからこのままでいいかな?」


保健室の先生に申し訳なさそうに言われた。


「あ、はい」  


また部活に戻るつもりだったので、出来れば絆創膏を貼ってもらいたかったが仕方ない。


そう思って立ちあがろうとしたら。


「あ、あの私」


蚊の鳴くような小さな声が耳に響く。


保健室の天使がおずおずと先生にこう言った。


「私、持っています絆創膏。
私のでよければ使ってください」


「いいの?」


「は、はい」


そう言ってポケットから取り出した絆創膏を先生に手渡す彼女。


控えめな話し方もしぐさも、その全部が天使って呼び名がぴったりあう。


「ありがとう」

 
「い、いえ」


彼女の目を見て笑顔でお礼を言ったら、目線を逸らされた。


恥ずかしがり屋なんだろうか、おとなしそうな子だなって思った。
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