麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集
その7
麻衣
「亜咲さん…、私なんかに何で、そこまで話してくれるんですか…」
私は自然とその言葉が出てしまった
それは心の中の疑問が、ぽろりと外へこぼれ落ちたような感覚だったわ
「…何でかな。わからないけど、あなたには誠実に本当の気持ちを告げたいって気持ちになれたの。あなたの言葉を聞いて、あなたの顔をこの目で見てね。私のこと、自分のことのように気にかけてくれる気持ちが伝わったわ。嬉しかったんだ」
「亜咲さん!」
「私、一人っ子だから…。ふふ、隣家に姉妹同様で育った年下の子はいて、小さいころから兄弟がいない寂しさはあまり感じなかったけど…。でもさ、まだ幼い時分に両親は離婚してお父さんがいなくなって、以来ずっと母子二人だからさ。親身になってくれる人の気持ちがありがたくて」
「…」
...
そうだったのか!
この人、幼いころから母一人子一人で…
私と一緒だったんだ…
でもこの時は、自分も同じような境遇だとは口にしなかった
何故か…
実際にそれを亜咲さんに告げるのはこれから、約半年先になる
...
この日はそこで終わりだった
私が聞いて、亜咲さんが答えた
それを私が聞いて、それで終い…
確かに短い時間の会話だったよ
だけどこの日以降、私の中での亜咲さんに対する思い入れで言えば更に深まったと思う
それは、私にとって亜咲さんが、単なる憧れを超えた存在になったということだろう
”お姉ちゃん…”
...
その日からほどなくして、つー子は”その一報”を私に持ってきてくれたけど、すでに彼女以外から、亜咲さんの南玉脱退は知っていてね…
「…それ、私も昨日聞いたよ。南玉の幹部会でも承認されたそうだね、亜咲さんの脱退…」
「うん…。なんか、家の事情とかもあるらしいって話だし、他のメンバーも無理には引き止められなかったんでしょうね。それで、これはまだ麻衣の耳には入っていないと思うけど、次の総長は刃根さんになるみたいだって」
おお、刃根達美さんか…!
それは私にとって嬉しい初耳だった
「そうか!でも部外者から見たって敵任だよね。刃根さんなら」
この人事は私の望んだところだったので、思わず胸を撫でおろしたよ
私は刃根先輩も大好きだったし…
麻衣
「亜咲さん…、私なんかに何で、そこまで話してくれるんですか…」
私は自然とその言葉が出てしまった
それは心の中の疑問が、ぽろりと外へこぼれ落ちたような感覚だったわ
「…何でかな。わからないけど、あなたには誠実に本当の気持ちを告げたいって気持ちになれたの。あなたの言葉を聞いて、あなたの顔をこの目で見てね。私のこと、自分のことのように気にかけてくれる気持ちが伝わったわ。嬉しかったんだ」
「亜咲さん!」
「私、一人っ子だから…。ふふ、隣家に姉妹同様で育った年下の子はいて、小さいころから兄弟がいない寂しさはあまり感じなかったけど…。でもさ、まだ幼い時分に両親は離婚してお父さんがいなくなって、以来ずっと母子二人だからさ。親身になってくれる人の気持ちがありがたくて」
「…」
...
そうだったのか!
この人、幼いころから母一人子一人で…
私と一緒だったんだ…
でもこの時は、自分も同じような境遇だとは口にしなかった
何故か…
実際にそれを亜咲さんに告げるのはこれから、約半年先になる
...
この日はそこで終わりだった
私が聞いて、亜咲さんが答えた
それを私が聞いて、それで終い…
確かに短い時間の会話だったよ
だけどこの日以降、私の中での亜咲さんに対する思い入れで言えば更に深まったと思う
それは、私にとって亜咲さんが、単なる憧れを超えた存在になったということだろう
”お姉ちゃん…”
...
その日からほどなくして、つー子は”その一報”を私に持ってきてくれたけど、すでに彼女以外から、亜咲さんの南玉脱退は知っていてね…
「…それ、私も昨日聞いたよ。南玉の幹部会でも承認されたそうだね、亜咲さんの脱退…」
「うん…。なんか、家の事情とかもあるらしいって話だし、他のメンバーも無理には引き止められなかったんでしょうね。それで、これはまだ麻衣の耳には入っていないと思うけど、次の総長は刃根さんになるみたいだって」
おお、刃根達美さんか…!
それは私にとって嬉しい初耳だった
「そうか!でも部外者から見たって敵任だよね。刃根さんなら」
この人事は私の望んだところだったので、思わず胸を撫でおろしたよ
私は刃根先輩も大好きだったし…