麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集
その8
麻衣


「でもさあ…、その刃根さんだって、幼い兄弟が何人もいて、あの人、親に変わって面倒も見てるって噂だよ。凄いパワーがある人みたいだね」

そうなのか…

あの刃根さんも結構、家の事情っての、抱えてるわけか

やっぱり私が心惹かれる人って、どうもそういう人ばかりだ…

偶然だろうか…

...


「…それと、紅丸さんとも息が合う仲らしくて、紅組でも刃根体制を歓迎してるそうだわ」

「そう…。とにかくよかった。亜咲さんは南玉を出ても伝説の女ライダーというステータスは変わらないんだしさ」

「その通りだよ。誰もあの人がドタキャンしたなんてくくりで見てないよ」

あったりまえだっての、ハハハ…

...


「それとさ…、この前から”頼まれてた件”、分かったわよ」

「おお、悪かったね。探偵みたいなマネまでさせちゃって」

「はは…、麻衣がどれだけ高原さんを憧憬してるか知ってるからねえ…。ああ、これ、住所のメモね」

つー子から受け取ったメモに書かれていた住所…

それは亜咲さんの自宅の住所だった

そう、私は亜咲さんの家を目にしてくるつもりでいたんだ

無論、外からそっと確認する程度だけど、ただ漠然とあの人の住んでる家の見物するっていうことではなかったんだよね

...


亜咲さんの家は東京なのに、埼玉の高校に通ってることは以前から知っていてね

その辺が前々からひっかかっていたんで、まずはそこがあった

確かあの近辺は東京の飛び地で、家の周囲はたぶん田んぼばっかの場所だと思う

あと、隣家の姉妹同然の子ってことだ

で、街中で亜咲さんが女の子を”うしろ”に乗っけてるって話、よく聞いててね

何でも隣に住んでる子らしいと…

多分その子だろう、亜咲さんのゴールドシートを独占してる少女って

だから、亜咲さんの家の前まで行けば、うらやましい限りの少女が住んでる家もわかるし

はは…、まあ、こっちは単なる好奇心だけど

ところがだったわ…





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