麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集
始まりの予感/その3
ケイコ


「最近、墨東会系列の連中が挑発気味だしねえ、協定以後の均衡破りたい連中だよね」

なるほど、2年前の”協定”は紅子さんの采配で成立したんだった

その紅子さんがいなくなったら、動き出す連中がいるってことか

ここに来る途中も、”東京もん”のバイクが幅寄せであおってきたし

まあ、亜咲さん、余裕でぶっちぎっちゃったけど…

「さっきのも、砂垣一派の”使い”だよ。紅丸さんのこと織り込んでの行動だろうね」

砂垣さんは、都県境一帯をまとめようとした野心家だったらしい

それを紅子さんが頭越しにストップさせて、協定を実現させたんだわ

「実はさあ、南玉でもチーム作る動きがいくつかあって、私にも誘いあってね」

そりゃそうだ、亜咲さんの走りはここらじゃ轟いてたもん

けど、家の事情で高校中退して、結局、表舞台には無縁だったんだよね

...


とにかく、墨東の挑発は日に日にエスカレートしてる

南玉も族作るリアクションが出るのは、まあ、必然的な訳だ

「今、大河原高の一年が中心に作った隊のアタマの話来ててさ」

わー、大河原?悪の巣窟じゃん…

頭のデキ弱い連中、多いかな

「それでさ、手当出すっていうんだよ。それがさ」

ほー、有償ならそれに越したことないじゃん、と思うが…

「リーダーの子、うちの店によく来るバイク好きの高1なんだけどね」

亜咲さんは、長くバイク店でエンジニアのバイトをしてる

「その子、有力なバックついたらしく、えらい額提示してるんだ」

「いくらよ?それって」

金額聞いてたまげた

チームのアタマとバイクテクの訓練料含め、1か月20万だって!






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