麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集
始まりの予感/その9
ケイコ


私はミラーボールの下で、モジモジしてるだけだ

ディスコミュージックはガンガンなってるし、恥ずかしいっての

「よし、ケイちゃん、こっちこい!」

笑いながら、紅子さん、ようやく解放してくれた

私は紅子さんの横に立った

「コレ、ダーリンのランス」

旦那さんになる人もでかい。紅子さんとサイズ、大体一緒だわ

ランスさんはニコッと笑って私の肩を軽く抱いた

「ユウカンナ アナタノコトハ、イツモ キイテマス。アエテ、ウレシイデス」

わあ、日本語もお上手だ

私も一通り挨拶し、途中で買った花束と美咲からの手紙を渡した

...

奥のテーブルに着いた時も、私は紅子さんの隣だった

丸いテーブルを囲んでる8人は私含めて、すべて女

みんなお姉さんで、まあ、どう見ても私が一番年下

どうやら、”紅組”幹部のお姉さんたちのようだ

しばらくして、紅子さんの”お友達”が私に話しかけてきた

「ちびっこナデシコちゃんの高校、どこなの?」

「滝が丘高校です。部活は陸上やってます」

今度は茶髪の、別のお姉さんが私に聞いてきた

「滝が丘なら、総長補佐の相川さんがいるよね?」

「はい、陸上部の主将やってて、お世話になってます」

まったく私、こういう場だと、とってつけた話ししかできないんだよね

「あのさー、最近族作る動きあるけど、南玉連合の幹部はどういう方針なの?」

茶髪のお姉さんが突っ込んできた

「…、えっ?あの、私はそういうことは分からないんですけど…」

「アンタの主将から何か聞いてないの?」

紅組のお姉さん、結構、怖いわ…

ここで、紅子さんが口を開いた

「やめな!この子は部外者だよ!」

一言で、その場の空気がピーンと張りつめた

やっぱり、大物はちがう。みんな下向いて黙っちゃったよ

「それに、今の動きは砂垣の奴がけしかけてのことだろうが」

おっと、今朝、亜咲さんが懸念してたこと、やっぱりかぁ





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