麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集
始まりの予感/その10
ケイコ


「みんな、紅子さんがいなくなった後のこと、心配なんですよ」

しーんとなってた中、最初に発言したのは茶髪のお姉さんだ

「各校の現役連中でも、砂垣に取り入ろうって動きも出てるし」

茶髪の隣に座ってる人も続いて発言した

「確かに現場で動揺はありますよ。無論、後任のミキがどうのってことではないんですけど…」

えー?紅子さんの後釜はミキさんなのか…

ミキさんは紅子さんの2級下で、何度か会ったことがある

紅子さんほどじゃないけど大柄で、しかもモデル並みに美人だ

見かけは温厚だけど、やるときはやるって感じかな

でも…、紅子さんの代わりとなるとどうなのかな…?

生意気だけど、やっぱりみんなが不安になるのはわかる気がする

まあ、なんて言っても、紅子さんが化け物のレベルな訳で、誰も代わりムリだわ

...

「それをサポートすんのがアンタらだろーが!いつまでも私に頼ってんじゃねえよ!」

さすが怪物だ!どえーってくらいの迫力で一喝だよ

「おい、ミキはどこだ!ここに呼んで来いよ!」

紅子さん、気がたってきたらしくて、隣にいるとちょっと恐い…

「私、席はずした方がいいかな?」

私は一応、紅子さんに伺いたてたが…

「いや、お前もいろ、ここに」と言われた。アッサリと

そして、ずっと踊ってたミキさんが、ハンカチで汗を拭いながらこっちへ来た

「ミキ、ここ来い」

ミキさんは、私と紅子さんの間に座った

「あ、ケイちゃん、久しぶりだね」

素敵な笑顔だ

私も「ご無沙汰です」と、立ちあがって挨拶した

「いいか、改めて言っとくけど、私が抜けたあとは、このミキが仕切る」

でっかい声なので、他のテーブルの人たちもこっち見てるわ

私らのテーブルは、みんな厳しい表情で紅子さんの言葉を聞いてた

なんか、婚約パーティーって雰囲気じゃなくなってきたわ…





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