麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集
その4
麻衣



つー子からのその情報は私に衝撃を与えた

「えー‼ちょっと待ってよ、つー子。…南玉が独自の公認チーム置くのは、紅組と墨東会が対決した後に交わした協定事項でNGになってたと聞いてるけど…」

「そうなんだよね。でもこの噂、確実に広まってるわよ。紅組の意図とかはさっぱりだけど、高原さん体制になったら公認チームを作るらしい、紅組も黙認するそうだって…」

私はこのことの持つ意味が、すぐに頭に浮かんだよ

...


亜咲さんは伝説の女ライダーだ

何もあの人に憧れてるのは私だけじゃない

バイクに乗るようになったら、できれば亜咲さんと一緒に走りたい…、そう思い願ってる都県境の中高生の女子は大勢いるよ

紅組ほどではなくとも、南玉連合に走りで加入することは狭き門だからね

そうなると、結局フリーで単独か少数の仲間でつるむしかない

だけど両組織に落とされた烙印を背負っての活動になるから、どうしたってガラ悪の色合いが強くなり、少なからず、墨東会や愚連隊連中の傘下に収まったりね

それが今までの実情だった

...


ところが、亜咲さんが南玉のメンバーになった以降は部外者の目からも、タチの悪い走りはめっきり減ってね…

要は皆が亜咲さんを鏡にして、襟を正したってことなんじゃないのかな

そして今度、その亜咲さんが南玉のトップに就くのを機に、あの人の主導の元、公認チームが造られる方向性を示されるとなれば‥

その公認チームに加入することは到底無理だとしても、そのチームの理念や行いを見習う少数チームがどんどん出てくるでしょ

ひょっとしたら、紅丸さんの狙いはそこにあるのかも…

ところが…、しかしだったのよ!

それからまた間もなくして、仰天情報をつー子の口から聞くことになるんだわ




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