あくまくんが愛してやまない。
……はい?!
は、話聞いてた、よね……っ?!
え、え、と戸惑うわたしに対し、微笑を浮かべて綺麗に笑う阿久間くん。
みゆうちゃん、と呼ばれたことの嬉しさはもちろん噛みしめる。
でもそれどころじゃない状況に、混乱は止まらない。
驚きで言葉が出ないわたしに、彼は迷いなく言う。
「てことで、彼氏なんだから苗字呼びやめてね」
「え、あのっ、阿久間く……」
「恭平」
「き、恭平くん……っ」
強引すぎる……、だなんて言えず、従うしかない。
ドキドキ心臓がうるさいのはわたしだけ。
彼が話すたびにわたしの耳が震えるんだから、ズルいと思う。
「わたし、やっぱり、付き合えな……」
付き合えない、って言葉を紡ぐ前に。
彼はわたしの唇に手を当てて。
少女漫画みたいな行動が恐ろしく様になる恭平くんは、楽しそうに口角をキュッとあげたのだ。
「よろしくね、みゆうちゃん?」