あくまくんが愛してやまない。
う、嬉しいけど、破廉恥だ……!
片手でバシバシ彼の背中を叩くと、恭平くんは可笑しそうに肩を揺らす。
わたしをからかって楽しむのは、いままでと変わらない。
だけど、恭平くんと繋いだ手は、わたしたちの関係が新しくはじまったことを暗示していた。
「生徒手帳なんかに入れなくてもいいように、いっぱい写真撮っていこ」
「……っ、うん!」
「ふはっ、また泣きそうになってる」
欲しい言葉をかけてくれるきみが好き。
涙を拭ってくれるきみが好き。
何度言ったって足りないけど。
恭平くんが大好きって、声を大にして言いたい。
広い背中を眺めながら、思わず頬を緩める。
ああ、幸せだなって。
文化祭マジックは、わたしたちの味方をしてくれたんだと、彼のとなりを歩きながら思ったのだ。