あくまくんが愛してやまない。
「ねーえ、聞いてる?」
「せっかくだから、お茶でもしようよ」
逆ナンの声で、我に返る。
ぐいぐい近づくお姉さんたちをフル無視しているらしく、恭平くんはスマホをいじっている。
女の人たちは露出の多い服を着ていて、遠くからでも綺麗な人たちなのはわかった。
大人の色気、というものが伝わってきて、がんばってワンピースを着ておしゃれをしてきた自分が少し恥ずかしくなった。
「ほら、行こうよ」
ついに女の人が恭平くんの肩に触れると、彼は瞬時に振り払う。
「すみません、俺彼女いるんで」
にこっと微笑んだあと、またもや興味をなくしたようにスマホをいじりはじめる恭平くん。
「あら〜、……そうなの?」
「まあ、そういうことなら仕方ないか〜」