あくまくんが愛してやまない。
「き、恭平くんがカッコよすぎるのがわるいんだもん!」
「へえ、それは嬉しいわ」
右手でピアスをいじりながら、恭平くんはくすっと笑う。
いつもと違う格好で、いつもと違う場所。
緊張しているのは、安定にわたしだけ。
でもそんな余裕なところも、わたしが恭平くんを好きなところのひとつだったりする。
「じゃ、行こっか」
ん、と手を差し出され、あたりまえのように自分のそれを重ねる。
……もう、幸せだなあ。
ぎゅっと繋いだ手に神経が注がれるけれど、そんなわたしの様子に、恭平くんは可笑しそうに肩を震わせていた。