あくまくんが愛してやまない。



「みゆうちゃんってさ」



名前で呼ばれるだけで、キュンってするんだよ。

恭平くんは策略家なのかって疑いたくなる。



彼は、今度は距離を詰めることはしなかった。

必死に手で風を送るわたしを真っ直ぐに見つめ、彼は口を開く。




「ピュアすぎて汚したくなるよね」


「……へ?!」



なに言ってるの?!

びっくりして唖然とするわたしに、当の本人は、たいしたことなど言ってないとでもいうように微笑んでいる。



わたしの聞き間違いだろうか……。

とんでもなく危ない言葉が聞こえたのは幻聴かな……。




「みゆうちゃんって、いままで俺のまわりにいたことないタイプだから、気になるんだよね」

「そう、なの……?」


「そうなの」



ケラケラ笑ってるけど、ぜったい恭平くん、わたしのことからかってる!



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