あくまくんが愛してやまない。
きっとまた、気が向いたらね、とかなんとか言うんだと思う。
安易に想像できて、がっくりうなだれる。
なかなか意地悪な彼氏だ。
わたしが刺されても、きっとなんにも思わない。
でも、文句は言わない。
恭平くんと付き合えてる時点で、もう充分幸せをもらってるんだもん。
これ以上欲ばりになったらだめだと自身に喝を入れ、前を向く。
するとわたしの目の前の席に、向かい合うように座っていたエミとばっちり目が合う。
涼しげな目元が少し細められ、仕方がなさそうに彼女は口を開いた。
「まあ、みゆうをいじめる奴は、わたしが懲らしめるから安心して」
その言葉にぱあっと表情を輝かせるわたしに対して、エミは若干引いている。
そんなことはよくあるので(悲しい)、気にせず彼女の手を取って顔を近づける。