あくまくんが愛してやまない。
「エミ……っ、わたしの第二の彼氏になって!」
「え、やだよ。それ愛人じゃん」
「わたしはいつでもウェルカムだよ!」
「みゆう、堂々と浮気してることに気づいて?」
もう、エミったらノリが悪い。
男前なエミの発言にキュンとしちゃったんだんだから、ちょっとくらい乗っかってくれてもよかったのに。
エミのツッコミに、ぷくっと頬を膨らませて拗ねてしまう。
そんなこんなで彼女と無言の攻防戦を繰り広げていると。
突如、バァンッと勢いよく教室の扉が開いて、ふたりしてビクッと肩を揺らした。
「わっ、沢っちじゃん!」
とんでもない勢いで扉を開けてくるから、びっくりしちゃった。
慌てて廊下を見やると、そこにいたのは、あの日同じ日直だった沢っち。
彼はどうやらあれから風邪をこじらせて、10日間ほど学校を休んでいたらしいから、いまはきっと病み上がりだ。