あくまくんが愛してやまない。
それにしても元気だなあ……とのんきに眺めていると、なぜだか、沢っちはカツカツとこちらに歩いてきていた。
一瞬勘違いかと思ったけれど、彼の視線は真っ直ぐにわたしに注がれている。
しかも、めちゃめちゃしかめっ面。
ふつうにイケメンなくせに、もったいないくらい怖い顔をしている。
え、わたしなにかしたっけ……?
まったく身に覚えがない疑問に悶々としていると、沢っちはわたしの目の前で歩みを止めた。
「ど、どうしたの……?」
遠くから見ていたらしかめっ面に見えたけれど、近くでよく見ると、なんだか泣きそうな表情にも見える。
プルプルと震えている彼の拳に気づいて、思わずぎょっとする。
少し不安になりながら問いかけると、沢っちは我に返ったように、わたしの机を思いっきり叩いた。
「保志!!」
「……っ?! はいいいっ!」
こ、怖いよ、沢っち?!
しっかりビクつくわたしにお構いなしで、沢っちはなにかに怒っているようだ。