あくまくんが愛してやまない。



焦りながら、助けを求めようとして前に座るエミを見ると、彼女は興味のなさそうにスマホをいじっていた。


エミ……?!

うそでしょ?! と辛辣な親友に裏切られた気分に陥っているわたしに、沢っちはまたもや机を叩いて言う。



「保志、あの阿久間と付き合ったってマジ?!」


「ひいいいっ、ごめんなさ……っ、…………んん?」




なにを言われるのかとビクビクしすぎて反射的に謝りかけたけれど。

脈略のない彼の言葉に、ぽかんとした。


あくま、という言葉が、アクマ、悪魔、阿久間……と変換される。


ぽんっと恭平くんの顔が脳裏に浮かんで、やっと沢っちの言葉を理解した。



「あ、そういえば、沢っちあの日休んでたっけ?」

「ばりばり寝込んでたわ!」



そう叫ぶなり頭を抱える彼。

その様子に、かなり不思議な気分になる。


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