あくまくんが愛してやまない。
なんでいるの。
いつからいたの。
こんなタイミング……、ヒーローみたいでズルすぎるよ。
聞きたいことはいっぱいあるのに、それよりも先に涙がこみ上げる。
ぐっと我慢して泣かないように耐えていると、恭平くんはいつもより少し低い声で言った。
「みゆうちゃんに何か用?」
きっといま、恭平くんは微笑を浮かべているだろう。
顔を見なくてもわかるくらいには、彼のことを掴めている気がする。
でも、いまなにを考えているのかはまったく読めない。
そういうひとだ。
でも、ちゃんと教えてほしいと思うときが、ときどきある。
本心を隠すのは恭平くんの癖なのかもしれない。
飄々と生きている彼の仮面を剥がしたいって思うわたしは、きっと生意気だ。