あくまくんが愛してやまない。



沢っちが、沢っちじゃないみたいだ。

朝から様子がおかしかったから、風邪のせいでなにかあったのかと心配したけれど、そういうわけではなさそうで。


どうやら恭平くんを敵対視(?)しているように見える。



いつもとちがう沢っちの雰囲気に呑まれつつあると、彼ははっきりとこう言った。




「保志は、チャラチャラしてる男になんか、あげねえから」




そんな言葉を放ったあと、スタスタと廊下へ出て行ってしまった沢っち。

彼の背中を唖然としながら追いかけていると、それまでずっと傍観していたエミが、ふっと吹き出した。



「沢内はほんっと、みゆうに一途だわ」



なにか言ったように思えたけれど、うまく聞き取れない。

首を傾げるわたしとは違い、恭平くんは聞こえていたみたいで。





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