あくまくんが愛してやまない。
「あくまくんの彼女があなたなんて、納得できない」
静かにわたしにそう言う女の先輩。
上履きに書かれている名前を盗み見ると、ボス的存在の彼女は宇野先輩というらしい。
後ろで鋭い眼光を向けてくる4人のひとたちは、宇野先輩の取り巻きなんだろうか。
あくまくん、と彼女が放った言葉にやっぱりと思う。
こんなに綺麗な人たちも恭平くんのことを想っているのか。
そう考えたら、だんだん自分に自信がなくなっていくように感じた。
先輩からも好かれる恭平くん、……恐るべし。
かなりまずい状況にあるのは変わりないため、なんとか真っ直ぐ宇野先輩を見据える。
目が合うと、彼女は冷めた瞳で言う。
「あくまくんがあなたを相手にするのは、遊びなのよ」