あくまくんが愛してやまない。
ちなみに、いまは放課後で、ここは旧校舎の廊下。
ここに来ると、恭平くんと付き合った日のことを鮮明に思い出す。
……いまだに幻みたいな出来事なんだよなあ。
そのときの会話が脳内を流れるけれど、いまは浮かれている場合じゃないから、その思い出をかき消した。
5人の先輩方に囲まれると、なかなか圧がすごい。
こんな経験をすることはもう二度とないと思いたい。
萎縮してひとり突っ立っているわたしに、宇野先輩は言う。
「保志さん。ひとつお願いがあるの」
……お願い?
急に優しい声音を投げかけられ、逆にビクッとする。
さっきまでと対応の違いに怯えながら、おそるおそる彼女を見る。
宇野先輩は硬い笑みを浮かべていて、少し怖かった。
黙っているのを肯定の返事とみなしたのか、彼女は続きを話す。