垂涎、午睡、うららかに【完】
さっと身体をどかし、彼女との距離をとる。
体温がうっすらと上がっていくのを、全身で感じた。
「ごめん、小町さん。ちょっと距離を間違えて……」
「京極くんって、ソファーと同じ香りがするんだね」
頭の中で、瞬時に消臭スプレーのCMが再生された。
匂う。くさい。
顔を顰めた母親役の女優が、ソファーに消臭スプレーを振りかける。
清々しい顔をする家族たち。誇らしい顔の母親。
つまり、小町さんの言っていることはそういうことか。
呆然としていると、彼女はすぐにフォローした。
悪い意味じゃないよ。むしろいい意味だよ。
そう言われても、いい意味になんて考えられない。
だけど小町さんが人を傷つけるようなことを口にする人間にも思えなかった。
早くこの部屋がスパイスの香りでいっぱいになってしまえばいい。
僕はひどく焦れた。
体温がうっすらと上がっていくのを、全身で感じた。
「ごめん、小町さん。ちょっと距離を間違えて……」
「京極くんって、ソファーと同じ香りがするんだね」
頭の中で、瞬時に消臭スプレーのCMが再生された。
匂う。くさい。
顔を顰めた母親役の女優が、ソファーに消臭スプレーを振りかける。
清々しい顔をする家族たち。誇らしい顔の母親。
つまり、小町さんの言っていることはそういうことか。
呆然としていると、彼女はすぐにフォローした。
悪い意味じゃないよ。むしろいい意味だよ。
そう言われても、いい意味になんて考えられない。
だけど小町さんが人を傷つけるようなことを口にする人間にも思えなかった。
早くこの部屋がスパイスの香りでいっぱいになってしまえばいい。
僕はひどく焦れた。