いざ、バレンタイン-朧咲夜・番外編-【完】
二月十四日は、土曜日。咲桜は休みで流夜は出勤だ。
真正面から、大好きの気持ちを渡せる日。
いくつになっても大事な日。
ずっとずっと、流夜のためだけのチョコを作っていきたいと思う咲桜。
流夜がいなければ存在しない想いに、ありがとうと伝えながらチョコを作っていく。
完成したチョコをラッピングして、ドキドキはやる心臓をおさえる。
これは……何歳になってもドキドキするやつだ!
流夜と一緒にいることに、いまだにドキドキさせられる咲桜。
自分は一生ドキドキ負けしていくんだろうなあと、チョコを見つめながら思った。
外から、車が停まる音がした。
流夜が、用心のために、と取り付けた、リビングにある防犯カメラのモニターで車を確認して、運転席から降りてくるのも流夜だと認めて、咲桜はチョコを持って玄関へ向かった。
「ただいまー」
「おかえりなさい!」
出迎えた咲桜を見て顔を和ませる流夜。
だが、今日は咲桜が手にしているものを見て、少しそわそわした顔になった。
咲桜はそれをわかってチョコの包みを差し出す。
「流夜くん、今日も大好きです! 明日も明後日も、ずーっと」
チョコを差し出す咲桜の手に自分の手を添えた流夜は、穏やかな表情をする。
「俺も。ずっと愛してる、咲桜」
微笑みつきの返り討ちをくらった。
END.