剛腕御曹司は飽くなき溺愛で傷心令嬢のすべてを満たす～甘くとろける熱愛婚～

1，天敵御曹司と一夜を共にしました

「いいか。しっかり哲哉さんについていけ」
　チャペルの前で出番を待っていると、ヴァージンロードを一緒に歩く白髪交じりの父がどこか突き放すような口調で私に告げた。
「はい」
　チャペルのドアを見据え、自分の感情を抑えてはっきりと返事をする。
　式のスタッフは私のウエディングドレス姿を見て『綺麗』と褒めてくれたが、嬉しさとか感動とかいった感情は湧いてこなかった。
　親が勝手に決めた夢も希望もない政略結婚。もともと結婚に希望など抱いていなかったけれど、棺桶に片足を突っ込んだ気分だ。
　誰かに花嫁代理をやってもらいたいというのが本音だが、親に逆らえば家を追い出されてしまう。
　私は水沢優里香、二十六歳。
　背は百六十五センチ。顔は小さく、目はパッチリ二重でまつ毛が長い。
天然のダークブラウンの長いストレートの髪は小さい頃からずっと変わらぬ私のヘアスタイル。