【完】シンアイ

会社までは走って15分程で、エントランスの一番奥まで走ってエレベーターに飛び乗って

行き先階の8を押して閉まるボタンを何度も押す

連打した所で早く扉が閉まる訳でも、エレベーターが早く動く訳でもないのに、早く閉まれと願いを込めて何度も押す

「会社に来た朝の時点でかなり顔色は悪かったよ」そう電話で言っていた父さんの声が頭に残る

なんで、何も気づかなかったんだろう
朝、いつも通りいってらっしゃいって送り出して、誰よりも彼を見ていたはずなのに・・・

8階で止まったエレベーターを飛び出して会社の受付に走ればお父さんが立っていて、走り込む私を抱き抱えるように、体に手を回される

「落ち着きなさい

彼は別室で休んでいるから」

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