【完】シンアイ
雨はさっきより少し弱くなって傘にぽつぽつと傘に跳ね返って、音楽を奏でるように不規則に音を発生させていて
しばらく歩いてマンションが見えてきたところで、着せてもらったパーカーを脱いで、バッグの中に詰める
何事もなかったかのように傘をさして帰って、家の鍵を開ける
父親はまだ家にいたのか、革靴が綺麗に揃えて置いてある
母は私を産んでしばらくして亡くなって、私のことは父が一人で育ててくれた
元々上場企業のシステムエンジニアをしていたのに私を育てるために、時間の融通が利きやすい会社に転職したといつだったか聞いた