【完】シンアイ
制服のスカートに付いた雨水を軽くはらって、ひとまとめにしていた髪の毛をおろして、髪の毛を空気にさらす

これで少しはマシになるかな

雨水と高い湿度でギシギシになった髪の指どおりは最悪で、アーケード街を真っ直ぐ歩いて交差点に引っかかる

アーケード街に入ったときよりも強く降る雨にうんざりしながら、雨に濡れない位置で信号が変わるのを待つ

「もしかして、君傘持ってないの?」

声がする方に目線を移せば、私と同じように髪と服が少し濡れた男の人が立っていて目が合う

上下グレーのスーツに黒のYシャツを着た男は、サラリーマンと言うにはあまりにも不格好で
ヤクザと言うには耳の3つつけられたピアスや指についた派手な指輪がそれを思わせるけれど、ミルクティー色の髪の毛と言葉の優しさが、その考えを否定する
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