【完】シンアイ
身なりはかなり良いその男は、少し濡れた髪をかき上げてニコッと笑った

下心とかはなさそうだけど、安全そうには見えない男・・・

目が合ったということは私に話しかけて来た・・・ってことだよね

「お兄さんも、傘持ってないですね」

「そうなんだよ、家近くだから傘買うのも馬鹿らしいけど、濡れずにどう帰るか迷っててね」

家が近いなら、雨が強くなる前に早く走ってすぐ帰ればいいのに・・・

内心毒付きながら、男から目線を外して前を向く

その瞬間、ふわりとカラダに何かがかけられて、グレーの上着は、横の男のものだと分かる

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