【完】シンアイ

ゆっくり鍋をかき混ぜながら、キッチンのカウンター越しに見える宮脇信也という男を見つめる
パソコンと書類を交互に睨めっこしながら、イヤホンを両耳につけて、足でリズムを取りながらキーボードを叩く姿はどこか楽しそうで
父親とは大違いの彼の姿を見つめる

どちらかというと、父親はこなすだけの作業のようで、ここまで楽しんで仕事をしていない

グツグツと音を鳴らす鍋の中に、冷蔵庫にあったカレーのルーを溶かしていく

市販のルーとは比べ物にならないくらいの独特のスパイスの匂いに驚く
自分でルーを自作すればここまでカレーの風味が変わるらしい

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