【完】シンアイ
今まで家事をする時も仕事をする時も1度たりとも指から外される事はなかったものを、カタンと小さな音をたててテーブルに置かれる
見なくても分かる、それが何なのか
「信也さん、離婚しましょう」
冷たい目のまま少し笑って言われたその言葉は、俺が1番聞きたくなかった言葉で、一気に涙が増えて視界が歪む
そんな寂しい笑顔で、笑わないでよ・・・
唇を噛んで
ただ、自分だけを責めるしかなくて
もっと自分が変われたら
もっと上手く出来て、もっと普通だったら何か変わってただろうか
こんなに、悲しい思いをしなくて済んだんだろうか
普通の家庭だったら、もっと穏やかに暮らせてただろうか