【完】シンアイ

今まで家事をする時も仕事をする時も1度たりとも指から外される事はなかったものを、カタンと小さな音をたててテーブルに置かれる

見なくても分かる、それが何なのか

「信也さん、離婚しましょう」

冷たい目のまま少し笑って言われたその言葉は、俺が1番聞きたくなかった言葉で、一気に涙が増えて視界が歪む

そんな寂しい笑顔で、笑わないでよ・・・

唇を噛んで
ただ、自分だけを責めるしかなくて

もっと自分が変われたら

もっと上手く出来て、もっと普通だったら何か変わってただろうか

こんなに、悲しい思いをしなくて済んだんだろうか
普通の家庭だったら、もっと穏やかに暮らせてただろうか


< 359 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop