【完】シンアイ

エピローグ

初めて結衣ちゃんにあった日のことを、俺は6年経った今でも鮮明に覚えている

今より幼くあどけない顔で、濡れた髪を空気に触れさせるように触る、白いセーラー服を着た彼女は、記憶の中の妹の姿によく似ていた

その姿を見て何も考えずに声をかけた

けど声をかけたあと自分が周りから不審者だと思われてもおかしくない状態なことに気がついた
普通を装うのが精一杯で、妹に似た顔の女の子をみて、感動に近い感情を抱えながら「傘貸してあげるよ」と親切な男性を装い彼女を家に連れていった

その日、家にはもう1人幼馴染の男がいて、帰宅早々殴られた

「誘拐犯とやってること変わらないだろう

通報されてたらどうする」

「でも、濡れてたし、風邪ひいたら可哀想だし、、

ごめん、死んだ人は蘇らないってわかってるから、だから妹に似た顔のあの子が気になった」