【完】シンアイ
「結衣ちゃん、信也は?」
「ソファーに・・・」
「ありがとう
・・・信也、大丈夫か?」
リビングに早足で入って来てソファーに寝転がる宮脇さんに声をかける
そんな柊さんの声に反応して、力ない声で「和人」と名前を呼んで、咥えたばこのまま柊さんに両腕を伸ばせば、子供をあやすように柊さんはその手を握って自分の方に引き寄せる
口元から火のついた煙草を抜き取って、それを灰皿に押し付けて火を消す
和人、と何度も名前を呼ぶ男に対して、動揺するそぶりを見せることもなく
淡々と相手をしながら酔ったような心もとない足取りの宮脇さんを支えながら、寝室に向けて歩く