優等生の腹黒@学園ラブ物語 キアラとカシアス 魔法の恋の行方・シリーズ9
そこは冷え冷えとして、明かりをつけないと薄暗い。

執務机の下に慌ててもぐりこんで、周囲の様子を伺うと、
廊下では、バタバタと、いとこたちの走る音が響いて聞こえる。

「いないよぉ・・カシアスの奴、どこに行っちゃったんだよ?」

カシアスはその声を聞いて、
うまく隠れ通した事にニンマリした。

そろそろここを出ないと、マズイ。
書斎は子どもが入ってはいけない場所で、オトナに見つかると怒られるのだ。

机の下から這い出そうとした時に、
「いてっ・・・・!」

背中に引き出しが当たり、1枚の古びた封筒が、床に落ちてきた。
カシアスは何気なく拾い、中を開けた。

数枚の精巧な写し絵が、入っている。
フェアリーの若い娘、それもきわどい下着姿だ。

銀の髪を長くたらして、はかなげで美しい顔立ち、恥ずかしそうに座って、微笑んでいる。

子ども心に、これは見てはいけない写真であると、理解した。

もう一度、机の下にもぐると、
引き出しの部分に、明らかに隠そうとしてノリで張り付けた跡がある。

<オヤジの秘密>なのか・・・・
カシアスは、その封筒を元の通りに、張り付けた。

それから、廊下に出てから、窓辺のカーテンにくるまり考えていた。

あのフェアリーは、誰なのだろうか・・・・

母親には、絶対にバレてはいけない、オヤジにとっての秘密の人なのだろう。

そして、ときめき、
カシアスの淡い初恋の記憶。
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