優等生の腹黒@学園ラブ物語 キアラとカシアス 魔法の恋の行方・シリーズ9
校舎の方から、
カンテラの明かりがいくつも揺れて、近づいて来る。

「おーーーい、大丈夫かぁ」

ハクタ先生が、エッチラ、オッチラ、小柄な体をゆすりながら走って来るのが見えた。

「警備に異常があったと聞いて・・」

「先生、キアラが花火の音に驚いて、結界に引っかかったので、
僕が糸をはずしました」

カシアスは、優等生的にすぐに説明をした。
ハクタ先生は体を45度に曲げて、ぜーぜー息をしながら

「はぁーー、そーーーかぁ。
はぁ、キアラ、大丈夫かね」

「はい」
そう言いながら、いきなりキアラは芝の上に座り込んでしまった。

「ああ、足にしびれがきているんだね」
ハクタ先生は、キアラの顔をのぞき込んだ。

「すぐに、お家の人に迎えに来てもらおうかな。
カシアス、ありがとう。
君がいてくれて助かったよ。
キアラ、私の背中に」

ハクタ先生は、軽々とキアラを
おぶってしまった。

「保健室まで、一緒にいきますか?」
カシアスが聞いたが、

「君はまだ仕事があるだろう。
別の先生にも頼んだから大丈夫だ」
キアラをおぶって、ハクタ先生はスタスタ歩き始めた。
ドワーフは小柄だが、力は相当にある。

「わかりました」
そう言いながら、
カシアスは一瞬、不満げな表情をしたが、すぐに笑顔に戻した。
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